国産紅茶の製茶工程

長野園には紅茶の専用工場があります。

紅茶の収穫タイミングは緑茶よりも、よりシビアだと思います。

なぜなら緑茶には蒸すという工程で茶葉をある程度均一に柔らかくする工程があるのに対し、紅茶はそういった工程が無いため原葉の均一性が最終製品の品質に大きく影響するからです。

収穫適期を逃さずにベストのタイミングで収穫した茶葉を最善の方法で製茶していくことが、品質の高いクラフトティーづくりには欠かせない事だと思います。

ベストなタイミングで製茶を行えるよう、緑茶の製造ラインとは別に紅茶の製造ラインを導入しています。

ここでは、私たち長野園の国産紅茶(和紅茶)づくりの工程をご説明いたします。

 

萎凋(いちょう)

夕方収穫してきた茶葉を専用の萎凋槽に静置します。

(より香りの特徴を出したい時や、1番茶で萎凋による水分移動をスムーズに行いたい時には日光に茶葉を当てる日干萎凋も併用して行います)

 

萎凋槽は最初は強めの風で、その後は茶葉の状態を見極めながら風量を絞っていきます。

夜中まで、茶葉を傷つけないように数度攪拌します。

これは萎凋槽の上にある茶葉と下にある茶葉の水分減少を均一化する目的と、茶葉を目覚めさせて水分蒸散の働きを活性化させる2つの目的があります。

 

この工程で収穫してきた茶葉は表面上はさほど萎れ(しおれ)ませんが、

香りが高まってきます。

また、品種によるそれぞれの香りが出てきます。

 

萎凋工程での失敗はその後の製造工程では挽回できません。

 

茶葉の水分量が1芽1芽全くバラバラだったとしたら、

発酵度合いも変わってきますし、乾燥のバラツキも最後までなくなりません。

 

長期保存でも劣化しない、良質な紅茶の製造には繊細な技術が必要なのです。 

 

揉捻(じゅうねん)

機械で茶葉を揉む工程です。

紅茶の発酵は酸化発酵です。

 

茶葉が持つ酸化発酵酵素(品種や時期によって含まれる量はバラバラ)をやさしく外に出してあげる事と、1芽1芽をやさしく撚ってあげることがこの工程の目的です。

 

長野園の紅茶づくりでは、最終製品の紅茶に雑味が無い事を目的としています。その判断基準の一つが、抽出した茶葉の1芽1芽がちゃんと元の形に戻っているかです。

 

茶葉の80%近い水分は葉脈を通って茎から抜けます。

その水分を抜ける経路を壊さずに揉捻していくことは良質なクラフトディーを製造する重要なポイントです。

 

品種、収穫時期、気温、湿度、作る紅茶のイメージでこの工程の時間は変わってきます。

 

発酵(はっこう)

室温と湿度をある程度コントロールした室内で静置発酵させています。

 

茶葉の温度を計測しながら時々 茶葉をやさしく攪拌します。

これは発酵のムラを最小限に抑えるためのひと手間です。

 

発酵時間も揉捻時間と同様まちまちです。

 

発酵度の浅い紅茶を作るときは30分、しっかりと発酵させたものを作るときは3時間以上。

 

発酵の完了は茶葉の香りと色を五感で判定して決めています。

 

 

(写真は上が発酵完了の茶葉、下が発酵スタートしたばかりの茶葉)

 

 

乾燥(かんそう)

乾燥の工程は大きく2つに分けられます。

 

①殺青(さっせい)

②本乾燥

 

①の殺青は、茶葉の酸化発酵酵素を熱によって失活させる工程です。

いかに早く均一に殺青を完了するかが、長期保存した茶葉のクオリティを決めます。この工程がしっかりと行われている紅茶は製茶後、秋口以降になってから香りが高まってくることが多々あります。

 

②の本乾燥では茶葉の水分を無理せずしっかりと抜く工程です。

 

基本的には②の本乾燥を完了した時点で販売できる状態の紅茶として仕上がっていますが、猿島紅茶おくみどりなど品種によってはしばらく熟成させたのちに仕上げ火入れを行うことで独特の香気を引き出す場合もあります。

 

テイスティング(鑑定)

出来上がった茶葉は他の生産者さんの良質な紅茶と合わせて複数ロットをその場でテイスティングします。

 

1日の紅茶製造の良かった点、改善点を明確にすることで、翌日の紅茶製造にその経験を活かす事と、茶葉のグレーディングを行うことが目的です。